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メタルギターのブリッジミュートをダイナミックEQでうまいことズンズンさせる方法(Sonnox Oxford Dynamic EQ)

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byakusyn(@byakusyn)です。

 

久しぶりの更新になってしまいました。

今回はミックステクニックの紹介。

 

メタル好きギタリストの生命線の一つと言えるブリッジミュート。

かく言う私も好きで、意味もなくズンズンしてリフを弾いていると気持ちよくなってくるわけです。

が、ミックスの観点から考えると、ちょっとケアが必要な奏法でもあります。

 

 

ブリッジミュートの特徴

ブリッジミュートの低音は弾いているときに気持ちよくても、ミックスするときに膨らみすぎて邪魔になるケースがあります。

じゃあEQで少しローカット。しかしブリッジミュート時にちょうど良いローにすると、今度はコードワークが物足りない。

こういうジレンマに陥りがちです。

本来はそれを見越した演奏をできていれば良いわけですが、なかなかね。。。

 

こういうときに活躍を期待できるのが、ダイナミックEQです。

 

ダイナミックEQとは

通常のEQは指定した周波数帯を指定した分ブースト、カットするのに対し、ダイナミックEQはスレッショルドで設定した入力量により、EQゲインが時間軸で動的に変化するEQです。

動的なのでダイナミック。

その点において、EQのかかる仕組みはコンプに似ています。

コントロールスレッショルドの他にアタック、リリースなどがあります。

 

これにより何が良いかというと、入力レベルがスレッショルドを下回る時はEQを適用せず、上回ったときだけEQを適用できます。

 

ブリッジミュートへの適用

Sonnox Oxford Dynamic EQを使っています。

チューニングや音の作り方によって異なるので、私の場合のセッティングです。

中心周波数は115Hzあたり、ブリッジミュートを一番多用する音で弾いたときに一番ピークになる場所を設定。

ブリッジミュートのときだけにEQが反応するようにスレッショルドを設定するのがポイント。

アタックを速くして頭だけに引っかかるようにして、リリースを短くして違和感が出ないようにしています。

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中央の白い太めの実線が実際に適用されているEQカーブです。

速アタック速リリースにしているので、-4dbくらいまでリダクションすることが多いです。

これでブリッジミュートでズンズンすると、ローの主張をちょうどよいところに設定でき、かつ曲中で映えつつもなじませることができます。

 

Sonnox Oxford Dynamic EQの各コントロール

違うプラグインでも、コントロールはだいたい似たようなものだと思います。

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  1. EQ/サイドチェインの有効無効
  2. ソロ
  3. EQカーブ(High Shelf/Bell/Low Shelf)
  4. 中心周波数(バンドマーカーと連動)
  5. Q
  6. ターゲットゲイン(ダイナミックEQが到達しようとするゲイン)
  7. オフセットゲイン(通常のEQのゲイン)
  8. Peak:全体的なピークに反応させる場合、Onset:信号レベルの突然の増加にのみ反応させる場合
  9. Above:信号がスレッショルドレベルを上回った場合に動作、Below:信号がスレッショルドレベルを下回った場合に動作
  10. スレッショルド
  11. ゲインがどのくらい反応するか。コンプのレシオのようなもの
  12. アタック
  13. リリース
  14. アウトプット

 

マルチバンドコンプとの違い

大体同じことはできます。

実際は仕組みが異なるため、クロスオーバー周波数付近で位相のずれが発生することががあるようですが、気にならないレベルならば使いやすい方で良いかと。

ちなみに仕組みについてはこちらの記事が詳しいです。

 

soundevotee.net

 

ダイナミックEQは見た目がアナライザ風+ほぼEQなので、感覚的にわかりやすいですね。

私の場合、ブリッジミュートのように局所的に処理したい場合はダイナミックEQ、ベースのように弦単位やポジション単位で少し幅広めに処理したい場合はマルチバンドコンプを使っています。

 

注意点

なんとなく使える(気になってしまう)エフェクト筆頭のEQと、初心者キラーであるコンプ。

このミックスでとても有用な2つの特性をあわせ持っているダイナミックEQ。

 

1つ目の注意点は、当然コンプの知識がないと使いこなせないことです。

難しいと感じる人は、まずコンプを学ぶのをおすすめします。

 

2つ目の注意点は、EQとコンプの特性をあわせ持っているため、このエフェクトだけでかなり作り込みができます。

それが故に、ダイナミックEQに無意識に固執して別アプローチを見逃し、結果的に遠回りすることがあります(私はありました)。

すごくこだわって作り込んでうまく行かず、ダイナミックEQ外して普通にEQとパラレルコンプかけたらよくなったんですよね。

なので、今はなるべく局所的に使うようにしています。その点ではマルチバンドコンプも同じ。

 

プラグイン

Sonnox Oxford Dynamic EQ

以前はダイナミックEQといえばこれしかなかったですね。とても高品位なエフェクト。

今セールで安いみたいです。\33,000→\7,000。

www.minet.jp

 

FabFilter Pro-Q3

みんな大好きFabFilterもQ3になってダイナミックEQ機能を搭載しました。

www.fabfilter.com

 

TOKYO DAWN RECORDS TDR NOVA

ダイナミックEQがフリーで手に入るなんて良い時代。

最初はフリーでという人も、気軽に始められると思います。

www.tokyodawn.net

 

他にもiZotope Neutron、Waves C6、F6あたりもあるようですね。結構あるね。

 

あとがき

メタルの生命線であるブリッジミュート、細かく処理することで存在感を失わずに曲をまとめることができると思います。

お試しあれ。

  

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