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コンプの動作方式別の使い分け方

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byakusyn(@byakusyn)です。

 

コンプと一言で言ってもその動作方式が色々あって、それぞれ音楽的な特性にも影響を与えています。

それらを理解することによって、より適切なコンプ選びができる。

ということで、コンプの動作方式と代表機種、使いどころについてまとめました。

 

 

主な動作方式

コンプの動作方式には、主に以下の種類があります。

 

では一つずつ見ていきましょう。

 

FET

FETとはFIeld Effect Transistorの略で、電界効果トランジスタを意味します。要はトランジスタを使ってゲインリダクションを行う方式です。

他の動作方式とは比較的速いアタック、所謂音楽的な歪みが特徴です。

代表はUniversal Audio 1176、代名詞のような機種です。以前記事にしました。

byakusyn.hatenablog.com

 

UAD-2 1176 Rev.Aのフロントパネル。

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用途としては、パンチや歪み感が欲しいソースに使うことが多く、ロック系ではドラムやベース、ギターなど幅広く使われる印象です。

逆に全体を均すのにはあまり向いていないです。

おれの場合は、ドラムのスネアとオーバーヘッド、クリーンギターに使うことが多いですね。

 

Opt(光学式)

Opt(光学式)とは、白熱電球発光ダイオードなどの光源の発光量を入力信号によって変化させ、その発光をフォトセルと呼ばれる入射する光量で電気抵抗が変化する電子部品で検知することでゲインリダクションを行う方式です。

光を使うから速い、ではないです。電球などの発光体を使用するので、他の動作方式に比べてアタックが遅いのが特徴です。特性がFETと逆ですね。

またきっちりした動作というより、全体的にゆるく、自然にかかる印象です。

代表はTeletronix LA-2A、LA-3A。LA-2Aは以前に記事にしました。

byakusyn.hatenablog.com

 

UAD-2 LA-2A Silverのフロントパネル。

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用途としては、全体を均すのに向いています。そのためボーカルやアコギ、ベース(スラップ以外)に使われることが多いです。

一方で、スパイクの多くピーキーなパートには向いていません。

おれの場合はベースと、ロングトーンを使うリードギターに使うことが多いです。

 

Tube(真空管)

その名の通り、ギタリストが大好きな真空管を使用してゲインリダクションを行う方式です。

最も歴史がある一方で、未だにプロの現場で重宝され続けるすごいやつ。

特徴はイメージ通り、スムーズでウォーム。レシオは設定があるもののゲインリダクションによって増減したり、アタックも遅めで自然にかかるため、とても音楽的な効果が得られます。

代表はFairChild 670、Manley Variable-Muなど。

UAD-2 FairChaild 670のフロントパネル。

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用途としては、比較的Optに近い特性があると言われているため、そちらに準じます。

おれの場合は、ドラムバスに使います。UAD-2のプラグインを使っていますが、サイドチェインEQとDry/Wetコントロールがあり、使いやすいです。

 

VCA

VCAとはVoltage Controlled Amplifierの略で、電圧制御アンプを意味します。

トランジスタで動作する点はFETと同様なのですが、FETは電界効果トラジスタの中で動作するのに対し、VCAはICに組み込んだトランジスタで動作する方式、らしいです。

そのため特徴はFETに似ており、歪みが少なく、スレッショルドやアタック、リリースなどのコントロール類が、比較的正確に動作します。

FETの仲間なので、機種にもよりますが速いアタックでの処理が可能です。

代表はSSL BUS Compressor、dbx 160、API 2500など、所謂バスコンプです。

UAD-2 API 2500のフロントパネル。

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おれの場合、ドラムのオーバーヘッドに使います。

 

あとがき

コンプと一言で言っても、ゲインリダクションを行う動作方式によってその掛かり方が異なります。

しかしこれらは実機の話で、プラグインの場合はどこまで実機に寄せているのか、逆に、利便性を向上させるためにオールマイティな味付けにしているか、などによって変わってきます。

なので、大きな道筋として考える程度に留めて、神経質に使用用途に沿う必要はないと思います。アマチュアがこれらの実機に触れる機会は少ないと思いますしね。

ただこういった知識があると、より目的にあった道具をチョイスしやすいと思います。

全ては、コンプを適用してどういった効果が欲しいのか。あくまで道具の一つ。

道具に使われることなく、道具を使いこなして、より良いサウンドに仕上げたいものです。

 

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